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イカの肝とワタ撒きについてパートU | |
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スルメイカ釣りで沖干しを作る時に出る肝とワタを漁場に捨てると、どういうことになるのか考えてみましょう。 仮に1隻8人の釣人が30杯平均釣り、半分の15杯平均沖干しを作り、その肝とワタを捨てたとすると1隻で肝が120個、ワタが120個の合計240個になります。 20隻の船が同じようにすれば4800個になるわけです。少なく見積ってもこの数です。 この膨大な肝とワタが海の中を漂っている状態というのは、自然界にはないことであり、人為的に我々が作り出した状態です。 このような場所にサメが主食とするイカを食べにきたらどうなると思いますか? 興奮し狂乱状態になり何にでも襲いかかるようになります。現に1月に海面にある肝とワタをついばみにきた海鳥に、サメが襲いかかっているのを見られた方も多いと思います。 今まで知らなかったこととはいえ、非常に危険な状態を我々は作っていたのです。 あるルアーマンの方からお聞きした話しですが、南の海域で舳先でジギングで釣っていた人が、船長からもう時間だから戻るよと言われ舳先から降りた瞬間、張り出し部分をサメが下から食い上げFRPがメチャクチャに壊された。たぶん海の中から釣人の動きを捉えていたんだと思います。釣人に怪我はなかったけど恐ろしい話だったと聞きました。何かがサメを興奮させ、人に襲いかかるような何かを気づかないうちにサメにしたのだと思います。 人為的にサメを興奮させ狂わせるような危険な状態を作る、肝とワタ撒きをそのままにしておいて良い訳がありません。事故が起きてからでは遅いのです。今は海鳥を襲う程度ですが、興奮狂乱状態ではいつ人を襲ってもおかしくありません。実際に起きたとしたらとんでもないことです。誰もがイカ釣りに行くのをためらうし、また、本人が行きたくても家族は許さないでしょう。以前のキンメの水銀騒ぎを覚えていますか。これが報道されてから1ヶ月半釣人が来なかったとキンメ船の船長が言っていました。 釣人が撒かないようにするのは当たり前のことであり、イカ船に乗る釣人の最低限のマナーであります。また、安全にイカ釣りをしてもらうために撒かせないようにするのが船長の義務でもあります。 相模湾より西の駿河湾、特に石廊崎周辺ではスルメイカの職漁船が多く操業しています。我々が釣りを始めるとすぐ撒いてないかと無線が入ってきます。職漁船にとって肝・ワタ撒きは道具をやられるだけでなく、サメをいつまでもその海域に居すわらせてしまう、水揚げに直結する重要事項であり死活問題なのです。 漁場を利用させて貰っている遊漁船は、漁業者の漁の邪魔になる肝・ワタ撒きは、絶対にしてはいけない行為だと認識して下さい。 同じ駿河湾で唯一年間を通してイカ釣りのみの焼津の小林丸さんは、きちんと肝とワタを入れるバケツを一人一人に配り、釣りが終わって漁場を離れてから捨てるよう釣り始めにアナウンスしています。これは非常に大事なことです。漁場について釣りを始めようという時に、船長から「沖干しを作る時に出る肝とワタは、海に捨てないでバケツに入れておいて下さい。釣り終了後に漁場を離れてから捨てて下さい」とアナウンスがあれば殆んどの釣人はそれに従います。船長には釣人の安全を守るための義務と権限があるから従うのです。船長の安全対策のアナウウンスを関係ないやで無視することは許されないし、それは他の釣人の迷惑になるだけです。船長の指示に従わない釣人は乗船を断られても仕方がないことなのです。マナー違反は通用しません。 それぞれの船にはそれぞれのルールがありますので、それを守るのが大前提です。 船長においては、アナウンスに強制力があるとかないとかではなく、船での非常に危険な状態から釣人の安全を守るためと職漁船との漁場の共同利用をスムーズに行うために、ご自分の船のルールとして捉えて欲しいと思います。 ライフジャケットの件も12歳以上の遊漁者への装着は法制化されていませんが、きちんと自分の船のルールとして捉え、いつ見ても全員装着を徹底している白い湘南の船もあります。 撒いたワタが海中で道糸に引っ掛かり、そこをサメやシイラ等にかじられ切られているのをご存じですか。イカのワタには二つのエラ心臓があるのでどうしても道糸に引っ掛かりやすくなります。海面下20〜30mで切られたらワタの可能性がありますが避けようがありません。 まずは自分が撒かない、その原因になることはしないという強い意志を持って下さい。そうすれば撒いている常連達を見ても、愚かさが見えてくるようになります。 昨年サメ博士の仲谷一宏北海道大学名誉教授が「サメ-海の王者たち-」というサメを詳しく分かりやすく解説した本を出版されました。その中でサメの事故を避けるための基本原則として、 サメを近づけない 魚の内臓を撒かない 魚のにおいのするもの(血等)を流さない サメを突いたりしないなどをあげられています。 この基本原則と注意事項を守ることでその危険性はかなり軽減できるはずだと書かれています。 イカ釣りをする中でどれもすぐ出来ることなので、安全な釣りをするために実行していかねばならないと思います。 自分はMyワタバケツを用意していきますが、イカ船で肝とワタを入れるバケツがない船もあります。今後肝とワタを入れるバケツを常備して頂けるようお願いしてまいります。 釣り開始時に肝やワタを撒かないようにとアナウンスをしている船は、釣人がサメの被害に合わないように常に釣人の安全を真剣に考えている船であり、安全意識が高い船ですので安心して乗船していただけると思います。 いつまでも安全で楽しいイカ釣りが続けられますよう、遊漁船においては漁業者とのトラブルもなく営業が順調に続けられますよう祈っております。 2012年2月 2013年5月千葉県外房沖でとんでもない事が起きました。沖合いで操業中の遊漁船にサメが飛び込んできたのです。ヤリイカを狙ってジャンプしそのまま船内に入ってしまったようですが、誰も怪我をしなかったようなので良かったです。飛び込んできたサメは、体重100sの凶暴と言われているアオザメでした。 何もしていない状況でもこのような事が起こり得る訳ですので、サメを寄せいつまでも船の周りに居つかせる操業中の肝・ワタ撒きは、危険度がさらに増すわけですから止めるべきであり、遊漁船の船長の義務として止めさせるべきです。何度も言いますが事故が起きてからでは遅いのです。 今回のサメ飛び込みを他船の出来事と片づけるのではなく、明日は我が身と考え、撒くのを止めさせられるかどうかです。 2013年5月 |
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